ココア
「ちゃんと自炊はしてるの?」
「うん。まあ、そこそこ」
「仕事はどう?」
「ボチボチ、かな」
「結婚とかは考えてるの?麻梨もそろそろちゃんと考えなさいよ」
「うん、分かってるよ」
いつものお母さんの質問責めを、適当に流しながらお味噌汁を啜る。
優しくて、温かくて、お母さんの味だ。
胸の中まで懐かしさが沁み渡ってゆく。
「─お父さん…は?」
「なかなかリハビリも大変でねぇ。イライラすることも多いのよ」
「…そう」
疲れた表情を見せるお母さんに、申し訳なさでいっぱいになる。
「ご飯食べたら帰るね」
「明日は?仕事なの?」
「休みだよ」
「あら、なら泊まっていけばいいのに」
「ううん。また、今度にしとくよ」
─それは出来ないよ、お母さん。
だってお父さんが…