ココア
握りしめていた、現金入りの封筒をテーブルに投げつけた。
「もう、二度と来たくないよ、こんな家!!」
「止めなさい、麻梨」
お母さんが止めるけれど、一度破裂して溢れだした黒いモヤモヤは、もう止める術がなかった。
「お父さんが私を嫌いなんでしょ!?全部、私やお母さんのせいにしないでよ!」
─ダメ、イッチャダメ
「何だと!?」
「お父さんが出てけって言うから、出てったんだよ!お父さんが私を嫌いなんだよ!!」
怒りで震えるお父さんが、声にならない声を上げ、もう一度杖を振りかざした。
「お父さん、止めて!」
お母さんの叫び声と同時に、杖は私の顔に降り下ろされた。