ココア
自分の体が絞り出すような悲鳴を、私は生まれて初めて聞いた。
声が聞きたい。
西原くんの声が聞きたい。
彼の声を聞けば、少しはこの逆立った心も丸くなれるような気がする。
というより─
撫でて欲しかった。
頭を優しく。
私はケータイを取り出して開いた。
そこに映し出されてる時刻は、午前0時半を過ぎている。
着歴にある西原くんの番号を呼び出し、そこでまた考える。
彼女でもない私が、こんな時間に彼を呼び出せるわけがない。
私が彼の家に行くことも叶わない。
でも。
それでも、西原くんの声が聞きたくて堪らない。
頭が迷うより先に体は正直に動き、指が彼の電話番号を押した。