ココア



自分の体が絞り出すような悲鳴を、私は生まれて初めて聞いた。





声が聞きたい。


西原くんの声が聞きたい。


彼の声を聞けば、少しはこの逆立った心も丸くなれるような気がする。



というより─


撫でて欲しかった。

頭を優しく。



私はケータイを取り出して開いた。


そこに映し出されてる時刻は、午前0時半を過ぎている。



着歴にある西原くんの番号を呼び出し、そこでまた考える。


彼女でもない私が、こんな時間に彼を呼び出せるわけがない。

私が彼の家に行くことも叶わない。





でも。

それでも、西原くんの声が聞きたくて堪らない。





頭が迷うより先に体は正直に動き、指が彼の電話番号を押した。





< 90 / 247 >

この作品をシェア

pagetop