ココア
2回、3回、とコールの音が電話の向こうの彼を呼ぶ。
4回、5回、6回…。
やっぱり、もう寝ちゃってるよね…
そう思った時に、いつもの彼の声よりも低い声が聞こえた。
「はい…」
明らかに寝ていた声に、申し訳なさでいっぱいになる。
「あ、…えと、倉野ですけど」
泣いてたことを悟られまいと、必死にいつもの声を作る。
「ん…、どした?」
「やー、えっと。えとね。─────。」
自分から電話したくせに、うまく言葉が紡げない。
「どした?なんかあった?」
さっきの眠そうな声よりも、ずっとハッキリした声が優しさを帯びてる。
その優しい低い声に、また胸が詰まった。
「ん…。あのね、、、」
涙混じりになりそうになるのを、グッと堪える。
「ん──。少し、話し、してていい?」