ココア
でも─、私は言えない。
泣けない。
また、それをそっと胸にしまい込む。
悟られないように。
彼に聞いてもらうには重すぎる気がしたし。
それに、私は人の前で泣いたり出来ない性分だから。
今までの恋人や親友の前でさえも、そうだったから…。
「うん、ダイジョーブ」
わざとカラリと笑って言ってみる。
「ほんとに平気か?」
ヘイキジャナイヨ
デモ、ワタシハ、イエナイノ
グラグラと揺れる心を必死に抑える。
「大丈夫だよ。…うん。ごめんね、こんな遅くに」
「ああ、気にすんな。じゃぁ、おやすみ」
「………ありがと」
そして、私から電話を切った。