ココア
痛みと熱を持った左頬に、両手をあてる。
痛みが、ドクンドクンと波打ってる。
逆立った心が静まった分、余計に痛む気がした。
でも。
きっと、お父さんの心の方がずっとずっと痛んでる筈。
腫れ始めている頬に冷湿布を貼り、ベッドの隅の壁に背中を預けて座る。
ささくれ立った心は静まったけれど、お父さんに酷いことを言った後悔が、私を覆い尽くす。
その後悔の色に埋もれ、苦しくて苦しくて仕方ない。
せめて、誰かに─
きっと西原くんに、聞いてもらえるだけで、それだけで私の心は随分と楽になるだろう。
それを分かっていながらも、やっぱり西原くんに打ち明けることは躊躇われた。
きっと、私は怖いのかもしれない。