ココア
優しい罪
テーブルの上に置いたままのケータイが、ブルブルと振動する音で目が覚めた。
あのまま、西原くんの声を聞いて安心して眠ってしまったらしい。
窓からは明るい朝の光が、部屋いっぱいに溢れていた。
時計を見ると7時過ぎ。
いきなり睡眠を断ち切られ、思い切り不機嫌な顔でケータイを開く。
え─西原、くん?
慌てて頭を切り替えて、電話に出る。
「も、もしもし?」
「おー、起きたか?朝だぞ」
「起きた、ていうか。どうしたの?こんな時間に」
「いい天気だよ。ちょい寒いけど」
「ああ、うん」
西原くんの行動の意図が読めずに、どう答えていいか分からない。
「今からお前ん家の近くのコンビニに向かうから」
「は─?えっと、、、ええ!?」
「たぶん、1時間もかからないと思うんだ。じゃ、そういう訳であとでな」
何かを言う前に、西原くんはもう電話を切っていた。