そして優しい嘘を言葉に
「章弘先輩の事、忘れないよ」

「……美雪……」

「あの……ありがとう、ずっと私の事、見守ってくれて」



私には涼が居るから、先輩の気持ちに応える事は出来ない。

でも、『ごめんなさい』より、話を聞いていたら『ありがとう』と伝えなきゃ……そう思った。



その時。



「東野!」

ドキッ



姿は見えない。

けど、先輩の背中越し……校舎がある方から、名前を呼ばれた。



それと同時に、章弘先輩が私を腕から解放した。

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