そして優しい嘘を言葉に
「東野。何をボーっとしてるんだ?」



あっ、もう授業始まってたんだ!

そう思った時には、遅かった。



「はい、罰として、教科書78ページの問1を訳して」

こちらを見ずに、涼しい顔してそう言い放つ沖野先生。



ううっ……鬼!



回りでクスクスと笑い声。

毎時間の恒例行事。



『そっかぁ。学校変わったら、こんな時間も無くなるんだ』……一瞬、そんな気持ちが胸をよぎったけど。



だからこそ今は、この1分1秒を大切にしなきゃ。

そう思った。


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