そして優しい嘘を言葉に
ああ、自分で言ってて、なんか実感してきた。

もうすぐ、涼とこうして学校でコソコソ話す事も、出来なくなるんだね……。



私は立ち上がった。



涼はしゃがんだままで私の行動を見ていたけど、すぐに同じように立ち上がった。

すると、立ち上がっている途中で、涼は一瞬、ピタッと動きが止まり、驚いた表情で私の顔を見た。



えっ、何?



でも、すぐに表情を変えて完全に立つと、今度はかがみ込むようにして私の顔を覗き込んできた。



「ちょっと、涼……学校なのに、近いよ、距離が」



だって、ほんの数センチでキス出来ちゃう位の距離。

今まで、家の中でしか見た事が無い、至近距離。

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