そして優しい嘘を言葉に
「ねぇ、涼」

「なんだよ」

「涼ってコロンとか香水とか嫌いで、何も付けてないじゃない」

「だからって、何も俺の匂いがしない訳じゃないだろ」



そう言ってムキになり、私の制服を更に『ギュッ』とする涼は、子供みたい。

しょうがないから、教えてあげる。



「あのね……涼はいつも、太陽の匂いがするの」



「えっ?」

私の言葉に、涼は不思議そうに表情を変えた。



「いっぱいお日様の光を浴びた洗濯物の匂い……なんだか、こっちまでお日様に照らされてるみたいで、心の中がポカポカするんだよ?」

< 121 / 430 >

この作品をシェア

pagetop