そして優しい嘘を言葉に
「ほら、誰かさんと人生共に歩いて行く約束をしたから、俺が長生きしないと淋しい思いさせちゃうだろう?」



……えっ?

涼はニコッと笑って、抱きかかえていた私のブレザーを、私に差し出した。



「おまえを1人残して、俺は遠くへ行ったりしないよ」



胸がギュッと苦しくなる。



ねぇ、涼?

それって、『僚二のように』……って意味?

それとも、4月からの仕事の話?



どっちでもいいや。

どっちにしても、嬉しいから……。



私は差し出されたブレザーを受け取り、再び袖を通した。

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