そして優しい嘘を言葉に
言った!

私、確かに大村さんにそんな愚痴を言った記憶がある。

自分で言った時は気にしてなかったけど……今聞いたら、思いっきりヤキモチ妬きのセリフじゃん!



『職業柄、実は覚えてるんだけどね』



ひーん、恥ずかしいよぉ。



『でも、「聞き流されてる」って思った方が、美雪ちゃんも心置きなくなんでも話せるでしょ?』



電話口で、コクンコクンと頷く。



「大村さんに話せなくなったら、私、穴掘ってその中に呟かなくちゃいけなくなるので、是非、『聞き流す』方向でお願いします」


『了解』



電話の向こうで、まだ笑いを含んだ大村さんの返事がした。

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