そして優しい嘘を言葉に
「なぁ、美雪」

しばらくの沈黙の後、やっと涼が口を開いた。



「ん? 何?」

出来るだけ、優しい口調で答えた。



「俺……この5ヶ月で、今の学校に随分、馴染んだよな?」



ああ、やっぱり、仕事の話を言えないでいるんだ。



「そうだね。時々、生徒なのか先生なのか、分からない時がある位、馴染んでるよ」



私はワザとちょっとふざけて返事をした。

背中越しに、涼がクスッと笑った気配がした。

そして。



「俺があの学校に居なくなったら……おまえ、淋しいか?」



涼は呟くように言った。

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