そして優しい嘘を言葉に
どうしたんだろう?

登先輩らしくない。



「美雪ちゃん、真実ちゃん」



私が登先輩の行った方を見ていたら、後ろから若本先輩が声を掛けてきた。

そして、隣同士で居た私と真実にだけ聞こえるように、小声で言った。



「悪いんだけど、登と隆志先輩の傍に居てやってくれない?」



「えっ?」

思わず、私も真実もそう声を上げた。



若本先輩は苦笑い。



「あいつ、スキー得意だったんだけど……ちょっと事情があって、中学の頃からスキーにトラウマがあるんだよ」

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