そして優しい嘘を言葉に
「美雪ちゃん、スキーが苦手なんだろ?」

登先輩がそう言った。



「ええ、まぁ」

「だったら、明日、俺がボードの方を教えるよ」



えっ?



「おい、登」

私が訊き返す前に、隆志先輩が登先輩に声を掛けた。



すると。



「なんだよ、元々、スキーじゃなくてスノボしに来たんだよ、俺は。兄貴が『それでいい』って言うから一緒に来たのに、急に『久し振りに一緒にスキーしよう』なんて……そっちが勝手に言ってるだけだろ」



登先輩はプイッと、隆志先輩とは反対の方に視線をそらした。

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