そして優しい嘘を言葉に
「美雪? どうしたの?」

隣に座っていた弥生ちゃんが、心配そうに訊いた。



あっ、マズイ、心配掛けちゃう。

一瞬、強い痛みがあったものの、今は痛みが消えたので、私は首を振った。

「ううん、なんでもない」



その時。



「おい、祥坊。あれって、本物の『美雪ちゃん』じゃないのか?」



えっ? 私?

小泉さんが、さも私を知っているような口振りで、祥くんに言った。



「えっ、嘘っ……あっ、本当だ」



えっ? えっ? 何?

松本さんが、ツカツカと私に近付いて来る。

< 195 / 430 >

この作品をシェア

pagetop