そして優しい嘘を言葉に
涼が何か言ったんじゃないよね?

だったら、祥くんに訊かないよね?



ちょっとパニックになっているうちに、松本さんが私の目の前に来て、まるで握手をするように手を差し出した。

訳が分からなかったけど、座ったままだと失礼かと思い、イスから立って恐る恐る握手をした。



「は、初めまして、東野美雪です」

「あっ、俺、松本卓。祥坊が昔から君の大ファンで、以前からいろいろ聞かされていたら、なんだか俺までファンになっちゃっててさ」



はぁっ!?

思わず、祥くんの方を見ると、ちょっとバツが悪そうに苦笑いをしていた。



ちょっと、祥くん、一体『誰に』『何処まで』『どんなふうに』、私の事を話しているの?



チラッと回りを見ると、みんな、キョトンとしていた。

< 196 / 430 >

この作品をシェア

pagetop