そして優しい嘘を言葉に
えーと……この流れで行くと、涼がチケットを手配してもらった親友って……。



「高田和馬さんって、舞台俳優と演出をしていますよね? お父さんが小説家でもあり脚本や舞台演出でも有名な高田繁浩さんで、お母さんが女優の高田和世さん……」

隆志先輩が、恐る恐る高田さんにそう声を掛けた。



えっ! 演劇に関しては勉強不足の私でも、『高田繁浩さん』と『高田和世さん』は知ってるよっ?

と言うより、涼との初デートの舞台の脚本と演出って『高田繁浩さん』だったよっ!



私が呆然としていると。



「君が隆志くん? 以前から俊夫に話を聞いていて、1度話してみたかったんだよ?」

「そう言ってもらえると、嬉しいです!」

「俊夫。俺、おまえと一緒の部屋でいいよな? ちょっと部屋借りるぞ?」



高田さんが大村さんにそう言った。

そして、高田さんが自分の荷物を持って、場所が分かっているのか部屋へ向かおうとした。

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