そして優しい嘘を言葉に
「さてと、みんな話が長くなりそうだから、夜食でも作って、あとは明日の朝食の下ごしらえでもしようかな」

そう言って大村さんが、今居るフロアと続いてるキッチンの方へ行こうとした。



あっ。

「大村さん。だったら、私、手伝います」



そう言って私が行き掛けると、大村さんは祥くんの腕をグイッと引っ張った。



「あっ、美雪ちゃんは普段、誰かさんの食事の準備で大変だろうから、今日はゆっくりしてて。美雪ちゃんの分、祥坊が手伝ってくれるから……なっ、祥坊」

「えっ? ああ……うん、そう言う事で」



一瞬、不思議そうに声を上げたけど、すぐに祥くんはハッとして、ニコニコしながらそう返事をした。

そして、大村さんと祥くんが隣のキッチンへ姿を消した。


< 205 / 430 >

この作品をシェア

pagetop