そして優しい嘘を言葉に
うっ。

「私、そこまで鈍くないよっ。今だって、たくさんの記念日、覚えてるもん!」

私は拗ねて、ソッポを向いた。



「例えば?」

笑いを含んだ声で、涼が訊いた。



「初デート記念日」

「それって、なんだか普通じゃねーか?」



んー。



「初めて部屋へ行った日」

「あとは?」

「初めて合鍵をもらった日」

「あと?」



えーと。



「俺達が出会った日」

私が次に言う事を考えていると、涼が先に言った。

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