そして優しい嘘を言葉に
「いや、大丈夫。ちょうど良かった、おまえに紹介しようと思ってたんだ」



涼はそう言ってイスから立とうとして、ついでに私の腕も引っ張ったので、私も自然に立ち上がった。

そして、涼が私の肩を抱くようにして、私をクルッと反転させた。



ドキッ

ズキン



さっきの声の主は、高田さんだった。



また一瞬、頭痛がして、無意識に顔を歪めた。

なんなの、一体……。



本当に痛みは一瞬だった。

けど、高田さんがそれに気が付いたのか、一瞬、眉間にシワが寄った気がした。

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