そして優しい嘘を言葉に
「まさか、おまえ……一目惚れしたんじゃ、ねぇーよな?」

涼の声が聞こえ、再びハッとして涼を見た。



眉間にシワを寄せて、心配そうな表情の涼。



「ちょっ、ちょっと、ヤダなぁ。16年生きて来て、一目惚れなんて1度しか経験ないんだから、そんなしょっちゅう一目惚れなんてしません!」



言ってから、『しまった!』と思ったけど、遅かった。



「ふ~ん、一目惚れの経験が1度、ねぇ~……なぁ、それって相手は誰?」

さっきとは一転し、ニパァと嬉しそうな笑顔の涼。



私はもう、さっきまでの不思議な感覚が、吹っ飛んでしまっていた。

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