そして優しい嘘を言葉に
あっ! 誰も居ないと思ったから、着替えないでパジャマのまま来たんだった。

でも、普通の女の子ならピンクとか可愛いデザインのものとか着てるんだろうけど、私の場合、ブルーで特に可愛いデザインもなく、お母さんでも着れそうな婦人物のパジャマ。



だから、松本さんの言う『可愛い』には当てはまらない気がして、首を傾げた。



涼が近付いて来て、大村さんの横を通り過ぎる時に、一瞬立ち止まり怒ったように軽く睨んだ。

でも、大村さんは予想していたようで、クスッと笑うと軽く肩をすぼめて見せた。



「おい、誰かデジカメ持ってない? 写真撮りたい」

松本さんがそう言った時。



ちょうど涼が私の目の前に来て……うわっ!

急に、バサッと私の頭から被るように、ジャケットを投げてよこした。

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