そして優しい嘘を言葉に
「せっかく、こんな深夜におまえと密会してるのに、部屋に戻るなんてもったいない」



えっ、あの、『密会』って……なんだか、いけない事しているみたいじゃない。



……って、そうだね。

誰かの前では、こんなふうに接する事が出来ないんだから、『密会』って言っても仕方ないのかぁ。



「なんか、俺……今、すっげーいい気分」

涼は楽しそうに言った。



「酔ってるからじゃないの?」


「んー……あいつらに美雪の事、紹介出来ただろう? だからかなぁ……。それに、こうしておまえの体温が感じられる距離に居られるなんて、心がフワフワしてる」



ちょっと恥ずかしかったけど、私も涼がすぐ傍に居るのが嬉しくて、何も言えなかった。

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