そして優しい嘘を言葉に
「おばさん、私が来たの、分かってたの?」

おばさんは返事をしなかったけど、ニッコリと笑った顔が肯定してると思った。



「なんで」

『なんで分かっていたなら、声を掛けなかったの?』……そう訊こうと思ったけど、言葉が出なかった。



「毎年、チョコだけ置いてすぐ帰っていたのに、今年は違うから、何か話があるのかなぁ……と思って。でも、私が先に声を掛けたら、話すのを止めて帰っちゃうんじゃないかと思って、待ってたの」



今の言葉を聞いて、分かった。

毎年、おばさんは私が来た時に気が付いてたのに、声を掛けずに見守っててくれてたんだ。



涙が出そうなる。

でも……ダメ。

ちゃんと笑って言わなくちゃ。

< 24 / 430 >

この作品をシェア

pagetop