そして優しい嘘を言葉に
涼を見ると、真面目な顔で私を見ていた。



「えっ、でも、だって……涼の立場を考えたら」

「俺が学校変わったら、伊藤と佐伯には言うつもりだったんだろ? だったら、ここに来ているみんなにも、言ってしまおう」



私は涼の言葉を聞いて、違う事を考えていた。



本当に、涼は別の学校に行っちゃうんだ。

なんだか心の何処かで、ずっと同じ学校に居れるような気がしていたから、淋しく思っている自分が居た。



「涼?」

「ん?」

「学校、変わるの?」

「……ああ。元々、半年の予定だろ?」



少しの沈黙の後、涼は初めて別の学校へ行く事を認めた。

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