そして優しい嘘を言葉に
私はバッグから、チョコを3つ取り出した。



「今日、おじさんは?」



おばさんは苦笑いをした。



「今日に限って休日出勤。『今年こそ美雪ちゃんに会えるかもしれないのに』って、ブツブツ嘆きながら出て行ったわ」



あぁ、おじさんも待っててくれてたんだ。

そう思うと、ジワッと瞳が潤んだ。

でも、泣かない。



「僚二とおじさんとおばさんへ……バレンタインのチョコです」

私はそう言って、おばさんに手渡した。

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