そして優しい嘘を言葉に
「じゃぁな、おやすみ」

私達の頭から手を放すと、涼は自分の部屋の方へ歩いて行った。



あっ。

「おやすみなさい、涼」

慌てて立ち上がって、私は涼の後ろ姿へ言った。



すると、弥生ちゃんも立ち上がった。



「おやすみなさい、沖野先生」

弥生ちゃんもそう挨拶すると、涼は背を向けたまま、片手をヒラヒラと振っていなくなった。



「戻ろうか」

涼の姿が見えなくなって、私はそう言ってから歩き出した。

弥生ちゃんは黙ったままで、後ろから付いて来た。

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