そして優しい嘘を言葉に
ふわっ

いつの間にか俯いていた私の頭の上に、大きな手のひらが乗った。

顔を上げると、涼がいつもの包み込むような笑顔で私を見ていた。



「弥生と、朝まで話したんだろ? 嬉しそうだったよな、美雪」



ハッとした。

涼が何を言いたいか……そして、次に何を言うか分かってしまった。

私は言われる前に、首を左右に振った。



「だから、みんなに」

「言わない! もう誰にも言わないよっ! 弥生ちゃんに話せただけで、もう十分だから……」



涙が出て来た。

涼の気持ちは嬉しい。



きっと、弥生ちゃんに涼の事を話せて喜んでいる私を見て、涼も嬉しかったんだよね?

いつも自分のせいで、私が我慢していると思っているから……。

我慢なんかじゃないのに。


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