そして優しい嘘を言葉に
「涼が傍に居てくれれば、それだけでいいの。

 本当は、涼が学校から居なくなるのが淋しかったんだよ?

 涼が学校を変わると思っていたから……それを言い出せないんだと思ったから、平気なフリをしただけ」




「美雪……」


涼は私の言葉が本心じゃないと思っているのか、切なそうに眉を寄せ、私の頭を撫でてくれた。




「ホントだよ?

 自分に言い聞かせてたの。

 『学校を変われば他の女子と話しているところを見て、ヤキモチ妬かなくなるからいいじゃない』

 とか、無理矢理こじつけて納得しようとしていた」




涼をジーっと見る。

すると、頭を撫でていた手で、今度は私の頬に流れた涙をぬぐった。



「私、4月からも学校では『沖野先生』の『一番手の掛かる生徒』でいて、いいんだよね?」



涼は、少し困った表情をした。


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