そして優しい嘘を言葉に
あれっ?

そう言えば、涼はどうして残れる事になったんだろう?

だって、元々、産休の後藤先生の代わりに半年だけの予定だったのに。



もしかしたら、半年延びただけ……とか?

すっかり気持ちは『卒業まで一緒に居られる』と切り替わっていたから、段々不安になってきた。

だから、涼は言い出せなかったとか?



「ねぇ、涼」

理由を訊こうと、そう声を掛けた時。



コンコン

「沖野先生」



ドキッ



ノックはしたけど、こちらの返事を待たずに、急にドアが開いて、驚いてドアの方を見た。



そこに居たのは、登先輩。

ドアのノブを持ったまま、固まっていた。

< 286 / 430 >

この作品をシェア

pagetop