そして優しい嘘を言葉に
「でも」

私がそう言うと。



「ん? 登くん、来てたんだ?」

登先輩の後ろから、大村さんの声がした。



「はい」

登先輩は短くそう返事をした後、私に近付いて来て、私の右腕を引っ張った。

「大村さんが戻って来たから、もういいんだよな? 昨日、スノボ教えるって言っただろ? 行こう」



「えっ?」

確かにそんな話は出たけど、約束はしてないよ。



私が戸惑っているうちに、登先輩は私の腕を引っ張ったまま、涼の部屋から私を連れ出した。



話が途中だったのに……。

私は気になって、チラッと涼の居る部屋の方を見た。

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