そして優しい嘘を言葉に
「大丈夫! 大したケガじゃないし、美雪ちゃんのせいじゃないから、気にしないで? それより、美雪ちゃんの方こそ、ケガしてない? 大丈夫?」

登先輩は体を起こしながら、そう訊いてきた。



「わ、私は大丈夫だけど、登先輩が……」

私も答えながら、上半身を起こした。



きっと登先輩が、体を張って私をかばってくれたんだ。

私が上の空でちゃんと話を聞いてなかったから、登先輩はせっかく一生懸命教えてくれてたのに……私のせいでケガをさせてしまった。



「俺が無理に『上から滑ろう』って言ったんだから、美雪ちゃんのせいじゃないって」

登先輩はそう言って笑っているけど、痛むのか左肩を押さえていた。



「でも……」

そんなふうに言われたって……。

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