そして優しい嘘を言葉に
「おいっ、どうした?」

聞き慣れた声がして見てみると隆志先輩だった。

そして、もう1人ゴーグルでよく顔が見えないけど、一緒に立ち止まっていた。



「隆志先輩! あの、私が止まれなくなって、登先輩がかばってくれてケガを」

「だから、美雪ちゃんのせいじゃないから! 大丈夫だって」

登先輩は私の言葉を遮るように、そう言った。



「とりあえず、2人はもう別荘に帰った方がいいな」

隆志先輩と一緒だった人が、ゴーグルを外しながら言った。



あっ、高田さんだ!



「後から何か症状が出るとマズイから、一応、医者に診てもらった方がいい。俊夫に頼めば、別荘まで来てくれる昔馴染みの町医者がいた筈だから、俺が送ってあげるよ」

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