そして優しい嘘を言葉に
「大丈夫ですって、そんな大げさにしなくても」

高田さんの申し出に、登先輩は右手を左右に振ってみせた。



「いや、そうした方がいい。じゃないと……」

そう言って、高田さんが私を見た。



「美雪さん、ずっと『自分のせいだ』って気にしてしまうだろ?」



どうしてだろう?

高田さんの言葉で、ホッとした。

登先輩の体だけでなく、私の気持ちまで考えてくれている。



例え登先輩本人が『大丈夫』って言っても、やっぱり不安。

ちゃんとお医者さんから『大丈夫』って言ってもらえれば、私も安心出来るけど……。



「分かりました。高田さん、すみませんけど、送ってもらえますか?」

「了解」

登先輩が高田さんの言葉を受け入れてくれて、高田さんも頷いた。

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