そして優しい嘘を言葉に
「じゃぁ、俺も戻ります。高田さん、先に行って、帰る準備してましょう」

隆志先輩はそう言って、スキーで滑って行ってしまった。



続いて、高田さんも軽く手を挙げてから、滑って行った。



「私、邪魔にならない端の方を歩いて降りますから、登先輩、先に滑って行ってていいですよ?」

私はそう言ってボードを足から外し、登先輩の返事を待たずに、ボードを抱えて歩き始めた。



しばらくすると、後ろから誰かが滑って来る気配がし、私のすぐ横で減速した。



「じゃぁ、先に行って待ってるから」

登先輩がそう言い残して、滑ってどんどん離れて行く。



その後ろ姿を見てたら、ジワッと涙が込み上げて来た。

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