そして優しい嘘を言葉に
「涼……起きたら、声を聞かせてね」

聞こえないのは分かっていたけど、小さな声で呟いてみた。



すると。



モゾモゾ

あれ?

急に布団の中で、何かが動いた。



あっ、涼の左手が布団から出て来た。

そして、その左手が何かを探すように、宙を手探りし始めた。



なんだろう? 夢でも見てるのかな?



私がちょっと小首を傾げた時、涼の左手が私の頭に触れた。

涼の手が一瞬、止まる。

けど、すぐに私の頭を『ポンポン』と優しく撫でた。


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