そして優しい嘘を言葉に
「おはよう、寝坊助さん」



ドキッ

声がして、条件反射で顔を向けると、至近距離に涼の顔があって、驚いてしまった。



「あっ、涼……ごめん、顔見てるうちに、寝ちゃったみたい」

「で、寝ぼけて家だと思って、真佐志に起こされてると思ったんだ? ふ~ん」



あれ?

涼、拗ねてる?



「寝言で俺の名前でも呼んでくれないかなぁ、って期待して起きるの待っていたのに……出てきた名前が『お兄ちゃん』って」



あっ、それで拗ねてるの?

って、あれっ?

『起きるの待っていた』?



時計を見ると、私がここに来てから、2時間経っていた。


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