そして優しい嘘を言葉に
「まぁ、『寝顔』とはちょっと違うけど、出会いの時から海で溺れて意識が無かったおまえの顔を見てるんだぞ?」



あっ、そうだった。



「それに、合宿所の体育館で、熱のせいか寝てた時もあっただろ?」



そうだった……確かに、今更だ。

でも、恥ずかしいよ。



「すぐに起こしてくれればいいのに……意地悪」



私が拗ねてそう言うと、涼はさっきとは違って、一瞬真顔になった。

えっ? どうしたの?

でも、すぐに包み込むような笑顔で、私の頭を撫でながら言った。



「俊夫から訊いた、スキー場での事」



あっ。



「おまえはケガしなかったようだし、登もたいしたケガじゃなくて、よかったよ」

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