そして優しい嘘を言葉に
「あっ、あの、涼? 朝みたいに、誰か急に来たら、マズイよ?」



今朝、ノックと同時に登先輩がドアを開けた時の事を思い出して、私は慌ててそう言った。



「大丈夫。おまえが寝ている間に、鍵掛けておいたから」



それって、逆に誰か来たら怪しまれるのでは?

一瞬、そう思ったけど……。



でも。

やっぱり、ちょっとだけでも安心して涼の傍に居られるのが嬉しくて、何も言えなかった。



「このままで話して、いいか?」



涼の声が後ろから聞こえた。

これからの事、だよね?



「いいよ」

私がそう言うと、涼はちょっとだけ腕に力を込めてから、話し始めた。


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