そして優しい嘘を言葉に
「俺、心の何処かでおまえとの事、『産休代理でこの学校に居る、半年間だけみんなにバレないようにしないと』って思っていた事に気が付いたんだ」



あっ、私も『学校が変わったら、希未や真実には話してもいいかな』って思っていた。



「もちろん、違う学校だったとしても、おまえが卒業するまで公(おおやけ)に出来ないのは分かっていたけど、同じ学校だとなると尚更……」



涼はそう言って、黙ってしまった。

それでも、涼は引き受けたんだよね?



「涼」

「ん?」

「涼がいつも私の事を考えてくれるように、私にも涼の事を考えさせて?」

「美雪?」

「涼はバスケットプレーヤーとしての選択肢もあったのに、それでも学校の先生になる道を選んだんでしょ? その夢が叶うなら、私は嬉しいよ……涼、おめでとう」


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