そして優しい嘘を言葉に
「大丈夫だよ、きっと……半年間、大丈夫だったんだから」

「大丈夫じゃねーだろう?」

「えっ?」

「章弘にバレてたんだろ?」



あっ! そうだった!



「でも、章弘先輩が言ってたよ……沖野先生の私への接し方が他の生徒と変わらなかったから、最初は私の片思いなんだと思っていた、って」

「じゃぁ、なんで分かったんだよ?」



ああ、そっか……黙っていようと思ったけど、今後の事を考えると、話さないとダメだよね。



「ほんのちょっとした事だから、私と涼の事をよく観察していないと、気が付かないと思うの」



私がそう言うと、涼の手がピクッと動いた。


< 325 / 430 >

この作品をシェア

pagetop