そして優しい嘘を言葉に
「涼?」



どうしたんだろう?

顔が見えないから、どんな表情しているのか、分からないよ。



「それって……。まぁ、いいや」

涼が何かを言い掛けて止めた。



「何? 言い掛けて止めたら、気になるでしょ?」



ギュッ

私の言葉と同時に、涼の腕に力がこもった。



「それって、『章弘がおまえの事をずっと見ていた』って意味に受け取れて、なんかイラッとする」



涼ったら……。



クスッ

思わず笑いが零れてしまった。


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