そして優しい嘘を言葉に
「他にバレる心配をして、ここに居るみんなへ話す事は『ダメ』って言い切るのに、俺がヤキモチ妬いてバレちゃうかもしれないのはいいんだ?」



えっ、なんか、涼の言い方だと、ヤキモチ妬かれて私が喜んでるみたいじゃない?

……いや、まぁ、完全には否定しきれないんだけどね。

でも。



「意図的に誰かに話すのと、無意識の行動で誰かに疑われるのは、違うでしょ? それに決定的な事じゃないから、もしもの時は、涼が得意の話術で誤魔化してくれればいいもん」

「あのな~、俺を『詐欺師』みたいな言い方すんなよ……でも、考えてても仕方ねーもんな」



そう言った後、涼が頭を離して、抱き締めていた腕を緩めた。



私は体の向きを変えて、涼を見た。



ちょっと切なそうに微笑んでいる涼。


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