そして優しい嘘を言葉に
「涼?」

「本当に、いいのか?」

「えっ?」

「多分、この機会を逃がすと……おまえは後2年、高校を卒業するまで誰にも言わない……そう言うだろ?」



涼は眉間にシワを寄せた。

また、私の気持ちを考えてくれているんだね。



私は涼の眉間のシワを、右手の人差し指で伸ばすように撫でた。



「美雪?」

涼が不思議そうな顔をした。



「眉間にシワが出来てるよ、涼」

「そうか?」

「うん……あのね、涼」

「ん?」

「私が誰にも言えなくて辛いんじゃないか、って心配してくれているのは分かるよ。でもね、それで涼が悩んだりする事の方が、私は辛いんだよ?」

「美雪」



涼は一瞬、驚いた顔をしたけど、すぐに私の好きな包み込むような優しい笑顔になった。

思わず、私も笑顔になる。

< 330 / 430 >

この作品をシェア

pagetop