そして優しい嘘を言葉に
あっ。

涼の手が私の頭から離れて、涼はその手で自分の顔を覆った。



涼の温もりが消えて淋しくなり、顔を隠している涼の腕に軽く触れた。

すると、涼が顔を隠したまま、ボソッと言った。



「やっべ~、また熱が上がりそう」



その言葉に、ハッと我に返った。

そうだよっ! 涼、熱があったんだ!



「涼、大丈夫? ごめんね、体調が悪い時に、長話になっちゃって……熱、測ってみて?」



私はサイドテーブルに置いてあった体温計を取ろうとした。



でも。

その手を涼に掴まれた。



えっ?

涼を見ると、クスクスと笑っていた。


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