そして優しい嘘を言葉に
「涼? どうしたの?」

「おいで。みんなが来る前に『ギュッ』て、心の栄養補給させてあげるから」



ドキン

えっ、なんで、私がさっき思っていた事、分かったの?



思わず、言い当てられて動揺し、視線が泳いでしまう。



で、でも……『おいで』って、何?

い、いつもは、何も言わないでも、涼が抱き締めてくれるのに……。

『心の栄養補給させてあげる』って……いつもは涼の方が『心の栄養補給させてくれ』って言って、ギュッてしてくるじゃない。



いつも涼から抱き締めてくれるのに……私が自分からその腕の中に行かないと、抱き締めてくれないの?

は、恥ずかしいよ。



ドキン ドキン ドキン……

心臓の音が、うるさい。


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