そして優しい嘘を言葉に
「涼のバカっ!」

私はそう叫びながら、涼の胸に飛び込んだ。



優しい人。

でも、時々、意地悪な人。

そして……。



愛しい人。



「自分で『俺を求めている顔』って言ったんでしょ? 他の人の前でなんか、出来る訳ないじゃん! 涼のヤキモチ妬き!」



私の言葉で、涼は『ふわっ』と優しく私を両腕で包み込んでくれた。



「これからもきっと、他の男と話していると我慢できなくなって、大した用事も無いのにおまえの事を呼び出してしまうかもしれないけど……そんな俺でも、いいか?」

「先生からの呼び出しじゃぁ、仕方が無いから行ってあげるよ」



クスッ

涼が笑った気配がした。



でも。



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