そして優しい嘘を言葉に
そうだよね……今回の旅行は、大村さんの特別な配慮がなければ、実現しなかったんだから……。



「うん、分かった」

「じゃぁ、1時にフロアで」

そう言うと、涼が私を解放した。



目の前の涼は、笑っていた。

その笑顔を見たら、私も笑顔になった。



今は涼の温もりが離れても、淋しくない。

だって、これから先、もっともっと私は強くならなくちゃいけないんだから。



涼が私を守ってくれるように、私が涼を守れるように……。



だから、大丈夫だよ、涼。



私は心の中で、そう思っていた。


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